ROKUZAEMONの諸行無常

田舎でひっそりと暮らしています

震災を前に思う

東日本大震災に見舞われた皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。

もう10日が経った。あっという間である。 

大勢の被災者を前にしていうのは気が引けるが、日本中が過剰自粛の雰囲気に包まれていて、自分自身も気分が落ち込んで何もする気が起きない日々が続いていたのだが、いつまでも落ち込んでばかりはいられない。少しずつ前を向いて歩いていかねば。

今回の地震では、当然のことながら多くのものが失われた。しかし大変なのはこれからである。

筆者は阪神淡路大震災の時、大阪在住で、直接的に被災したわけではなかったが、勤務していた神戸の事務所が被災して、その後勤務していた会社の経営がおかしくなり、かなり悩んだが会社を辞めることになった。そうして今日に至っている。

筆者の場合は修行もかねて神戸でランドスケープの仕事に従事していたわけであるが、ろくに仕事を覚える前に辞めることになったために、経済的なこともさることながらスキルを磨く観点で大きなダメージを受けた。

自分のことを例に挙げるのも何だが、地震のような天変地異により人生設計の変更を余儀なくされる人は相当数にのぼるのではないか。これから1年2年と経つにつれて、何ともいえない無常感を味わうことになるのである。人はただ生きていればよいのではないのである。被災した皆様には、何より前向きに、目標を持って人生を歩んでほしいと思う。

ただし、これだけの大災害は、ある意味閉塞していた日本社会の扉を開くきっかけになるかもしれないと思っている。

これまでは、冷やかし程度の地球温暖化対策が行われてきたが、これからは否応なく本格的に取り組む必要があるだろう。何せ電力が抜本的に不足しているのだから。特に首都圏においては、夏場は数年は電力不足が見込まれるのである。そこで、復興対策として国を挙げて太陽光発電の普及啓発を進めれば、ものすごく短期間で太陽光発電は普及するのではないかと思う。特に電力需要が増加すると思われる夏場の電力供給にかなり有効ではないかと思う。家庭レベルでの普及はもちろん、企業には今後建物の新築の際には太陽光パネルと屋上緑化を義務づけてはどうだろうか。

ミニ水力発電所も、数を増やせば短期間でかなりの電力がまかなえると思う。ダムなどを造るわけではなく、既存の堰堤などを利用すればよい。数%程度供給が増やせるのではないかと思う。

24時間営業の店舗なども、原則夜間休業にし、弁当などはその日のうちに売り切る方式をとればよい。1日6時間休業するだけでも2割近くは消費電力が抑えられるのではないかと思う。

放置森林の間伐など森林再生を大規模に進め、できた間伐材を復興事業の木材や、ペレットなどの燃料として積極的に利用することも考えられる。

自転車の普及についても、ある意味千載一遇のチャンスではないかと思う。復興都市計画において、自転車レーンの普及を大々的に進めることで、特に都市部において車中心の社会から自転車・歩行者優先の社会に変えることが可能である。

鉄道貨物についても見直すきっかけとなった。在来線については特に夜間の貨物運行を増加し、貨物駅を中心としたモーダルシフトを進めるとよい。新幹線開業で並行在来線の問題がいわれているが、JR貨物所有にして貨物輸送を中心に行うとよいのではないか。

東京一極集中の弊害が指摘されていたが、今回の地震である程度関西を中心とした西日本に経済活動をシフトする必要が生じてきた。ある意味関西の復権において千載一遇のチャンスである。関西発祥企業や外資を中心とした本社機能の関西移転を進め、経済活動の停滞を招かないようにすることが求められよう。コマツなどは金沢に本社を移転すれば、金沢の経済も非常に活性化することは間違いない。

世間には内定をもらえずに就職できない若者が多く存在するが、被災地の復興のための仕事に従事させることで、雇用創出にもつながる上に、社会人としてのスキルアップにもつながるのではないかと考える。一定期間震災復興事業に従事した人を企業が優先して雇用するようにすれば、若者の就職率向上にも寄与すると思われる。

現在TPP締結に向けて政府が取り組みを進めているが、経済的に復興を進める上では絶対に行わないといけないだろう。但し、世界的に原油価格が高騰しているさなか、輸出入の拡大よりは域内流通が中心となると思われるので、農業などについてはあまり影響は出ないと考えられる。

漁業については難しい面もある。短期的には三陸沖を中心に非常に厳しいものがあるが、一時的にも漁業資源の保全が図られるわけであり、長期的には漁獲量の確保につながるといえるかもしれない。

被災した町をどう復興するかについてはまだ明快な答えが見あたらない。これだけ大規模な地震が起きたことで、これ以上大きな地震はあと1000年起きないかもしれないのである。仮に地震予知の技術が今後大幅に向上して、非常に正確な予知が行えるようになるのであれば、これまで同様のまちづくりが行えるかもしれない。但し間違いなくいえるのは、防災ではなく減災、仮に被災してもすぐに復興できるようにすることを考えた方がよい。10m超の防潮堤を築いても津波が防げないことを考えると、やむをえない。20mにすればよいという話ではないのである。費用対効果も考えないといけない。また、それよりも大事なのは、避難訓練や意識啓発などのソフト面がより重要だということも明らかになった。これについては全国レベルで取り組む課題である。

なんてことを書いてみたが、自分はいったい何ができるのか、といわれると何も言えないのである。せめて自転車を買うくらいか。金沢は雨が多いので自転車生活は太平洋側よりは難しいのが悩みである。

今日の金沢駅前。

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個人的には、北鉄駅の横にあるこの坪庭が非常に秀逸で気に入っている。今日は雨に濡れて落ち着いた雰囲気を醸し出している。かれこれデスクワークにばかりいそしんでいるが、こういう庭仕事にも従事したいと思う今日この頃である。